この崩れ方から棟の下地は粘土とわかります。
去る3月11日の北関東大震災では、東京と近郊でも、棟と呼ばれる部分の瓦の崩れが多数発生しました。被災した屋根を応急処理しながら、崩れた大きな原因を2点見つけました。ひとつは、棟の構造です。昭和の時代に葺いた瓦は棟の芯に粘土と呼ばれる土を使っています。この粘土は固まると全く粘りが無く、つかんだだけでボロボロに崩れてしまいます。写真でも解るとおり、ボロボロに砕けてしまっています。もう一つは瓦の施工方法です。軒先から瓦を積んでくると、半端な瓦が必要になる場合があります。棟の下の瓦はこの半端な瓦を使うのですが、当然割り切れないので切断した物が使われています。しかし、瓦を切断すると、桟に引っ掛ける足が切られているので僅かな揺れでもすぐにずれてしまいます。昔の大工さんは、瓦の割り振りを計って軒先の出を決めていたものです。でも現在は割り振りを考えて施工することはかなり減っています。まさに見習うべきは先人の知恵といえますね。
この崩れ方から棟の下地は粘土とわかります。