文化財修復(菊池郡泗水町 商家 N様邸)
現在地に移築されたのが明治2年(創建は不明)。熊本県の歴史的建造物。
文化財修復工事について
日本建築士会では、災害や経年により安全性が損なわれていると思われる文化財について大学等と連携しながら、公的補助を受けて修復工事
を行っています。
稲葉工務店でも、熊本県建築士会の文化財ドクター(代表稲葉博文が資格保有)として県下の文化財診断と修復工事を担当しています。
菊池郡泗水町の商家N様邸は、2016年の熊本地震後に修復が必要と認定された文化財で、建物の「傾き直し」を始め、外壁、内壁、基礎回りの
一連の工事を行いました。
建物を土台から持ち上げて行う修復作業は、時に人命に関わる大事故の危険性があるため、十分な知識と経験を持つ職人が特殊な機材を使い
細心の注意を払いながら取り組みます。
着工前(外観)
柱が土台に落ち込み家が傾いたため梁が下がり、座敷の襖も湾曲した状態。
着工前(柱・梁・床下)
シロアリに侵され脆くなっていた柱や梁が、熊本地震により更に破損が進み、崩壊寸前の状態。
保管
「復元」が大原則の文化財修復では、古い建物で使われていた木材などに番号をふって保管。復元作業の際に、補強を施しながら元の位置に戻していきます。
ジャッキアップ
建物の傾きを正すため、土台から建物自体を持ち上げる「ジャッキアップ」。一つ間違えれば倒壊による命の危険も伴う作業は、熟練の職人が専用の機材を使って行います。
金輪継ぎ(かなわつぎ)
「金輪継ぎ」とは、日本木造建築の伝統的な継ぎ手のひとつ。同じ形の部材の口にT字型の目違いを付けて組み合わせ、栓を刺して固定する継ぎ手の中でも強固なもの。 文化財修復でも柱の修復によく使います。
土台敷き
床下を補強
床を張る